ホットミルク



近くの公園に行くと、一人の男の人が居た


ベンチに座っていて、何故か頭には灰色のスーツがかかっている


顔は全然分からない


関わりたくなくて、前を素通りしようと思った


「…苦い」

「え…?」


思わず言葉が零れた


「君、コーヒーか何か飲んだかい?」


全く動かず、男の人は言う。顔は分からないまま


「あ、え…?」


「ああ、いきなりすまないね。ただ、君からコーヒーみたいな苦い香りがしたから」


…驚いた


確かに、先程私はコーヒーを飲んだ


苦くてちょっとだけだったけど


なんで顔を覆っているのにわかったんだろう
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