天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
「へ?」

目を丸くする雛菊。

「え…じゃあ、私の手を握ってるこの毛深い手は一体…」

ヒョイと自分の手を掲げた雛菊。

その掌には。

「っ…いぃいぃいぃぃやぁあぁぁぁあぁあぁぁっ!」

30ミリほどの大きさの、全身に細かい体毛の生えた蜘蛛がへばりついていた!

「くぅうぅうぅもぉおぉぉおぉぉっ!」

半狂乱で喚き散らして暴れる雛菊。

「おいおいおい、あれタランチュラいう奴やないかっ?」

慌てる八鶴。

「正式名称はタランチュラコモリグモといって、メスは体長約27ミリ、オスは体長約19ミリなので、雛菊ちゃんの手にへばりついているのは大きさからして恐らくメスの…」

テンパっているのか、本で得たタランチュラの知識を披露する秋帆。

「そんなのどうでもいいってばぁっ!どうにかしてっ!どうにかしてよこの蜘蛛!私、虫は苦手なのよぉっ!」

涙目でガクガク震える雛菊。

しかし。

「どうにか…と言われても…」

秋帆も八鶴も困惑する。

タランチュラといえば、確か猛毒を持つ毒蜘蛛の筈だ。

万が一噛まれたりしたら…!

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