君のためにできること
「優のせいじゃないよ、なつみはそんな後悔している優を見たいわけじゃない。優ができることは、あるよ」


なつきと視線がぶつかる。俺は、なつきの顔がなつみと重なり、視線をそらした。


「奇麗事言うなよ!俺にできることなんて何もないじゃないか」


「・・・できることなら、あるじゃない」


腫れぼったい瞳はまた、俺を射抜いた。なつきは、俺の手を握りしめた。


今の俺にとって、ただ・・・。あったかくて、何もかも、救われるような、手をしていた。


「できないわけじゃなくて、何もしたくないんでしょ?なつみを失って、生きる希望が見出せないんでしょ?わたしだってあの時から時間は進んでないんだよ」


「なつき・・・」


「自分だけ、悲しいわけじゃないんだよ!私だって、私だって!」


また、泣き始めたなつきは、もう、止まらなかった。俺はなつきの手を、握り返した。


温もりが、失われないように。
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