君のためにできること
二時間後に、集中治療室から医師が出てきた。俺は、医師に近寄った。


「なつきは!なつきはだいじょうぶなんですか?」


医師は軽く、頭をなでた。


「問題ありません、ただの貧血です」


「・・・貧血?」


俺は安堵した。しかし、医師は厳しい顔を見せた。


「一応、検査入院していただきます」


「検査?」と、俺は言った。


「はい、ちょっと気になることがあるので、精密検査が必要です」


俺と、なつきの両親はうなづいた。


「なつきと話せますか?」と、俺は訊いた。


「意識は戻りましたが、今は無理です。安静にしておかないと・・・後日、改めて、おこし下さい」


機械的に医師はそう告げた。


「・・・・・・わかりました」


なつきの両親は、医師に何か言っているようだった。


俺はうつむいたまま、病院を後にした。
< 33 / 95 >

この作品をシェア

pagetop