君のためにできること
病院の待合室は、混んでいた。皆、神妙な顔で下を向いている。


俺は、売店で買ったパンとジュースを胃に流し込んだ。


そして、なつみからのメールを見ていた。


ぼんやり、メールを眺めていると、袖を引っ張られたので、驚いて、振り返った。


俺の前には、腕を組んだ少年が立っていた。いや、少年と言っていいのかはわからない。俺より、年下なのはわかる。


神秘的な銀色の髪、カラーコンタクトをしているのか、瞳の色は青だった。耳にはいくつものピアスが所狭しと並んでいる。


少年は、長い前髪をかきあげる仕草した。中性的な顔立ちが綺麗で女性を思わせる顔立ち。


「見舞いに来たんだけど、迷っちゃって」


いきなりのタメ口に俺は、俺は面食らった。


「しかたないよ。この病院広いからね。受付窓口に行けばいいと思うよ。そこで、訊けばいい」


「サンキュー」


少年はそう言い残し、走って行った。


不思議に思いながらも、俺はなつきの病室へ向かった。
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