君のためにできること
今日は、なつきと病室で、外の景色を眺めていた。葉は色づき、秋の到来を予感させる。


「すっかり秋だね」


なつきは背伸びをした。


「そうだね、読書の秋ってやつか」


「食欲の秋でしょ」


なつきは笑いながらそう呟いた。


俺は、なつきの痩せ細った体が、痛々しくて、見ていられなかった。


持ってきたサンドイッチを、俺は、頬張り、なつきに渡す。


なつきは首を横に振り、「いらない」、と呟いた。


俺ができることは、なつきのそばにいてあげること。


ただそれだけなのか?

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