揺れない瞳
「で、結乃はどうしたいの?ショーに出る気はあるの?」

「嫌だ。ショーなんて恥ずかしいし無理だよ」

翌日、大学で加絵ちゃんをつかまえて、芽実さんからのメールの内容を話すと、どこか含み笑いを浮かべられた。
大人びた綺麗な顔がどこか嘘っぽくて、思わず構えてしまう。

「ま、結乃には荷が重そうだね。人前に立つなんて結乃の人生には無縁そうだし。
……でも、面白そうなのに」

くすくす笑う加絵ちゃんは、空き教室でレポートを仕上げながら楽しそうに肩を揺らす。

他人事だと思って……。私はふうっと小さくため息をついた。

「あの結乃のドレスは私もいい出来だなって思ってたよ。
最終審査までいってもおかしくない仕上がりだったし、ショーで取り上げたいっていうのも納得できる」

「え?なんで?」

「だって、結婚したいって思う女の子の夢がリボンやらパールやらビーズやら。
目いっぱいの装飾に込められていて可愛かったし、それでいてラインはすっきりとしてたからどんな女性にでも似合いそうだった」

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