揺れない瞳
「私は、悩みという言葉じゃ受け止められない状況を受け止めなきゃ生きられなかったから。
きっと、私に比べれば央雅くんの悩みは本当につまらないって思うから。
自分はまだ幸せだって…」
うまく言えてないなと思いながらも、詳しく話すなんて無理だから。
きっと、今日さよならすれば、もう二度と会う機会もないだろう人。
だから、繋いだ手に必要以上の理由を求めたり、央雅くんの気持ちの変化にもその流れを細かく確かめてしまうのかもしれない。
央雅くんがどんな事を考えてるのかによって、私の未来が変化する事はないだろうし。
今、すれ違うだけの相手が何か悩みを抱えていて。
私はそれを素直に気にして。
多分、今だけの関わりだとわかっているから、必要以上に。
普段の私からは考えられないくらいに央雅くんに寄り添っている気がする。
「央雅くんの毎日が、楽しかったらいいですね」
人とのつながりが苦手な私にとっては、画期的な言葉も。
央雅くんがちょっとでも上向きな気持ちを持てるように。
言い慣れないのに、言える私に驚きながら。
それでも、相変わらず手は繋いだまま。