揺れない瞳
隣に座る加絵ちゃんと、男性陣の幹事のアキトくんが注文をしてくれて。
鉄板の上にはお好み焼きがおいしそうな音をたてている。
焼き上がるまで、自己紹介をすることになって、私の緊張感はマックス。
一番端に座る私は、最初に自己紹介しなきゃならないかもって気づいて。
アキトくんと目が合わないように俯いてじっと黙ってるまま。
加絵ちゃんはそんな私の様子に気をつかうように私の背中を軽く撫でてくれた。
いつも私の事を気にかけてくれる加絵ちゃんは、ほんの小さな私の心の揺れにも敏感なようで、本当に感謝している。
家族という温かさを知らない私だけど、大学生になって知り合ったばかりの加絵ちゃんからは本当にほっこりと温かい感情を与えてもらえてる。
そっと目を合わせると、加絵ちゃんは私を励ますように小さく何度も頷いた。
ふふっと。
思わず出る私の笑顔も加絵ちゃんのおかげかもしれない。
「とりあえずこいつから自己紹介な」
アキトくんが指名したのは私とは真逆にいる男の子。
私の順番は最後だな、きっと。
良かった。