家族になろうよ!
「おう、おかえり!」
ドアを開けた瞬間、威勢の良い声が俺を出迎えた。
「親父、帰ってたのか」
「ついさっきなー」
疲れは見えるが小ざっぱりしているので風呂には入ったのだろう。
しかし、なぜ洗濯機の前にぼやっと突っ立ってるんだ。
「何してるんだ?」
「見れば分かるだろ、洗濯だよ。結構難しいんだな。あんまり思うように動かないぞ、これ」
親父の手元をのぞきこめば、設定がめちゃくちゃになっている。
すすぎ三回って。
「慣れないことしてんじゃねーよ」
「だって、彩花ちゃんと優子ちゃんが頑張ってるのに、俺だけ今まで通りぐうたらしてるわけにはいかんだろ。せめて自分が溜めた洗濯物くらいどうにかできるようになってみせる」
ほう、俺と二人だったときは何もしてなかったくせにな。
それは大層立派な心がけだ。
鼻を鳴らしつつ、正しい必要最低限の工程を入力してやった。
「スタートを押して……これでよし、と」
「あ、ちょっと待て。乾燥ボタンは押したのか?」
「うちの洗濯機に乾燥機能は付いてねえよ!」
「マジか?」
そんなことも知らなかったとは。
恐ろしくて家事なんて任せていられない。
「もういいから、とりあえず飯まで休んでろ。あんまり寝てないんだろ」
「斗馬は優しいなあ」
いちいちうるさい。
しっしと手で追い払うと、よれよれのおっさんは去り際、こう言い残して行った。
「そうだ。今、優子ちゃんの友達が来てるぞ」