家族になろうよ!


不謹慎かもしれない。

でも俺は嬉しかった。


初めから彼女は俺のことを馬鹿にしなかった。

予想とは逆の、他の奴らとは違う言葉をくれる。

そして、マスコットなんかじゃなく、俺のことを男として見てくれていると、今知った。


卑屈に構え、彼女を疑った自分が恥ずかしい。

早乙女那美は人を笑ったりしない。

周りに流されず俺と接してくれる。


だったら、そんな彼女に俺は何が言えるだろう。

俺と同じ悩みを抱えた、早乙女那美という人間に。

精一杯彼女のことを思い考えていたら、ふっ、と自然に言葉が浮かんできた。


「そのままで、いいんじゃないかな」


「え?」


「大きくても小さくても、早乙女さんが早乙女さんなら、俺はいいと思う」


深い茶色の瞳が、まばたきを三つ。


「服織女くんって面白いね。哲学者みたい」


「ごめん……」


そのままの気持ちだったが、声に出したら思ったよりややこしかった。

だけど。


「ありがとう。元気出てきたよ」


彼女が笑ってくれた。

それだけで、俺まで笑顔になった。


荒んでいた心が潤ってきたような、背負う荷物が少し軽くなったような。

早乙女那美は、人の気持ちを優しくしてくれる。

< 80 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop