鬼
サキ……?
嘘だろ…。
シュウはその現状がすぐには受け入れられず、その場に立ち尽くした。
すると、背後から男がやってきて
「バトル中によそ見している余裕はないぜ」
と言葉を残しシュウの背部をその拳で突いた。
「ぐあ…っ」
シュウは思いきり突き飛ばされ、地面を何度もバウンドした。
地面にはちょうど草が生えていたため、それがクッションがわりになりそれほど衝撃は大きくなかった。
「くそ…何やってんだ…」
シュウはそう呟きながら、立とうとした瞬間、左足に激痛が走った。
…くそ…っ、…折れてたら厄介だな…!
シュウは痛みに顔を歪める。
しかしもし折れていたとしても戦いを放棄することは出来ない。
オレたちのこの戦いは遊びじゃない。命をかけた真剣勝負だ。
だから例え、骨が折れようが血が沢山出ようが、そんなの関係ない。
それにサキが負けたなら尚更、諦めるわけにはいかない。
でも、あのサキが負けるなんて…。あの女はよっぽど強い奴なのか…。
シュウは足の痛みに顔を引き攣らせながら、もう1度サキたちの方を見た。
サキが地面に俯せになった状態で倒れており、その傍らに女が立っている。
女はサキに冷ややかな視線を送っている。
くそ…。何やってんだよ、サキ…!お前でも勝てない相手なのか?
2人して何てザマなんだ…!
サキは一向に動く様子がない。しかし、それと同様に女も動く気配がない。ただじっとサキの様子を伺っている。
ん…?…あの女、何か持ってる…。
よくよく目を凝らすと、女の左手にはクリーム色の袋があった。
あれは確か…、さっきの町で買った唐辛子か…?
あの女、まさか…!!