シュウが女の方に気を取られていると、


「お前の相棒はオレの相棒にやられたようだな。8年間追い求めてきた夢がついに叶う時が来たというわけか」

背後から男の声がした。



「…夢…だと?」


「ああ。8年間ずっとオレたちはあいつを仕留めるために旅をしていたんだ。
…ずっとな…」


「……」


「しかしお前もすぐに相棒の元に送ってやるぜ」

と言い、男がまたシュウに向かって走り始めた。







すると、





キーーーン…





辺り一面に鋭い視線のような冷たい空気が流れた。






やっと来たか…。

シュウは口元に笑みを浮かべた。





「…何だ…、…この威圧感は…」


シュウに向かって攻撃を繰り出そうとした、男の動きを止めたもの。


それは−…





「これでようやく本当のあなたと戦えるのね…」

女は手にもつ袋をギュッと握りしめた。
不安と期待が入り交じったような表情をして、俯せになったサキを見つめていた。



すると、サキがむくりと起き上がる。

そして、


『…後悔するなよ…』

という言葉とともに、先程の威圧感が増した。



「サキ…」

そう呼ぶシュウの顔には冷や汗が浮かび、全身に震えが走った。



「…あれが…、…鬼……」

男もシュウと同じように冷や汗が浮かび、不安が残る表情をして立ち上がるサキの様子を食い入るように見つめていた。




サキはフゥと深呼吸をし、女の真向かいに立った。そして鋭い目付きで女を見据えた。


『これがお前たちが探し求めてきたオレの姿だ』





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