鬼
シュウの言葉に女は心底驚いているようでもあり、どこかしら傷ついているようにも見えた。
「…何でじいちゃんが殺されなくちゃいけないのか理由が知りたい。」
シュウは女を見据えて、ゆっくりとした口調で言った。
女は真っすぐに見つめてくるシュウの目を避けるように俯いた。
が、すぐに決心したように
「…そうね。」
と頷き、顔を上げた。
「私たちが何者なのか、あなたたちに教えてあげる。」
「私たちは黒い集団に雇われた賞金稼ぎ。それはさっきアユサが言ったわね。」
オレとシュウは頷いた。
「それは間違ってはいないけど、正しくもないの。」
「どういうことだ?」
シュウが聞き返す。
「私とアユサは小さな農村で育ったの。そこでの暮らしは自給自足で毎日生きるのに大変ではあったけど、幸せな生活だった。」
女は遠くを見つめるように目を細めた。過去を思い出しているのだろう。
それから眉間に皺をよせた。
「でもある時、村に知らせが届いたの。」
「知らせ?」
「ええ…。血のように赤い鬼が逃げ出した…とね。」
そう言った女がゆっくりとオレに視線をよこした。
女だけじゃない。
シュウもオレを見ている気配があった。
でも、オレは
何かに縛られたように体を動かすことが出来なかった。
正しく、その赤い鬼というものがオレだと悟ったからだ。