鬼
新たな仲間
「…逃げた?…それってどこからだよ?」
シュウは動けないオレを横目で見ながら聞いた。
「……。」
女は口を開かなかった。
オレは嫌な予感がした。
”赤い鬼が逃げ出した”
そんな奇想天外な生き物がそこらの動物園にいるわけでもあるまいし。
昔からいる生き物なら話は分かる。
でも鬼なんて、オレ自身架空の生き物だと思ってた。
黒い組織とオレの関係……。
オレは真実を理解して、何故だか笑いが込み上げてきた。
そういうことだったんだ。
「おいおい……マジかよ。」
シュウも信じられないといった様子で力無く言った。
が、言葉とは裏腹に握りしめる両手が微かに震えていた。
「…ええ…。あなたたちも察しの通り、”赤い鬼”はあなたのこと。」
と、女はオレを見据えた。オレはわざと女から目を逸らした。
「そして、”赤い鬼”は黒い組織から逃げ出した。
私たちはそれを捕らえるよう集められたのよ、高額な報酬で。」