鬼
「…辛い話をしてしまってゴメンナサイ…。」
女が深く頭を下げて謝った。
「いや、オレも知りたかったし…。自分が誰なのか…。君のせいじゃないよ。」
本当はすごいショックを受けていた。
でも女が自分のことのようにオレの身になって考え、傷付いているように思えた。
何で赤の他人、ましてや敵(?)であるオレに同情してくれるんだろう…。
「…てか、寒いなぁ…。」
と、シリアスな雰囲気を壊すような台詞を吐いて、シュウは身震いをした。
「海が近いから風が強い。なぁ、町に戻らね?」
確かに、寒い。
けど、少し空気を読めよ。今、オレの出生の謎が解き明かされたんだぞ?
オレは苦笑した。
ま、これがシュウの悪いとこであって、良いとこなんだけど。
シュウのマイペースな発言に呆気にとられたけど、少し元気が出た。
みんなでウジウジしたって仕方ないしな。
過去は過去だし。
それにまだ聞きたいことはある。今はどこか宿に入ってそこで続きを聞こう。
オレはそう思い直すことにした。
「そうだな…。どこか宿探してそこで続きを聞こう。いいか?」
オレは女を見て言った。
「え…、ええ…。」
女はオレの立ち直りの早さに驚いているようで、ポカンとしている。
「じゃ、決まりだな。…イテテ…、まだ彼は起きないわけ?仕方ねぇな…。」
シュウは足が痛むようで顔をひきつらせながら、気絶する男の腕を自分の肩に回す。
「シュウ、オレが連れてくよ。足、折れてるかもしれないだろ。」
「いや平気だよ。これ以上お前の中の鬼を刺激して、出て来られたら大変だからな。」
シュウはニヤッと笑い、足を引きずりながら歩いて行った。
後ろから見るとかなり痛そうなんだけどな…。
オレもシュウにつられて笑い、シュウのあとに続いた。
そしてオレたちは安い宿を見つけ、そこに泊まることにした。
宿の主人が目を丸くさせ驚いていたが(そりゃ驚くか…)、オレたちの状況を見てすぐに部屋に通してくれた。
シュウは部屋に入るなり男をベッドに寝かせた。