鬼
「よっしゃ!んじゃ、その方向で行こうぜ!サキもそんな気にすんな。オレも気にしねぇから。」
ニカッと歯を見せてシュウが笑う。
「うん、ありがとう。」
オレも笑い返しながら頷いた。
「んで、おたくらはどうすんの?一応、オレらの敵だよね。」
変に馴染み始めた2人に対してシュウはきょとんとしながら言った。
「今ここで捕まえる?」
オレのその問いに女は渇いた笑い声で「…冗談でしょ」と言った。
鬼の力を目の当たりにし、その強大な力には懲り懲りしたようだ。
「でも、高額な報酬がもらえるってことでサキの捕獲を引き受けたんだろ?」
捕獲…って。猿じゃあるまいし。
若干シュウの言葉にムッとしたけど、シュウのギャグだろう、ということで目をつむることにした。
「そうなのよね…。ここであなたを捕まえたいけど、さすがに…。」
男の方を見ながら女は言った。男は情けないのだろうか、険しい顔をして女から目を逸らした。
そして、その場に静寂が訪れる。
何年も追い求めて来た目標が今自分たちの目の前にいる。
けど、その強大な力から捕らえることが困難。
でも、今ここで逃がしたら他の賞金稼ぎに捕まるかもしれない。ま、オレは捕まるつもりは全くないけどな。
そんな葛藤をしてるのだろう2人をオレたちはただ黙って見つめていた。
オレは、ホントは敵に対してこんなこと思っちゃいけないんだろうけど、
この2人と旅したいと思った。
歳も近いだろうし、一緒にいて窮屈じゃない。むしろ楽しいかもしれない。
もっと2人のことを知りたかった。