ポーカーフェイスとあまえんぼ
「……ぇ?」
葵くんの気の抜けた声が耳元で響く。
「私だって、ドキドキ、してるもん。」
私はそんなのお構いなしに言葉を続ける。
「千里さん?」
「私の方が、いっぱい心臓うるさいもん。
幼馴染みさんにやきもち妬いちゃうぐらい、
好きだもん。」
我慢していた涙が、
遂に零れた。
葵くんはそんな私を力いっぱい抱き締める。
「千里さん、可愛すぎだから……。」
赤い顔の葵くん。
私はそんな葵くんを見つめた。