あたし限定。
「はぁ…!やっぱり梨空ちゃん面白い!!」
「はい…?」
「明日も来る?」
「え……?」
「来てね!!
俺、ここで待ってるから!!」
「え、いや、ちょっと…」
「ダメ!
…拒否権、ないから」
はぁぁぁ!?
あたしにも拒否権くらいあるから。
ってか、
最後の一文
絶対悪意こもってたでしょ!!
「梨空ちゃん、電車?」
「そうですけど…」
「ふーん。じゃあ駅で待ってるね!」
「はっ!?」
「11時の電車で来てね!」
言いたいこと言ったら彼は、
帰るつもりなのか歩き出した。
「へっ!?
あの、ちょっと!!」
「達弥」
「は?」
「達弥って呼んで」
甘えんぼですか!?
そんなうるうるした目で言ってどうするつもり。
「早く!
じゃないと俺、
梨空ちゃんのことさらっちゃうかも」
また現実離れしたことを。
さらうって何様。
「達弥……。さん」
一応年上なわけだし、
呼び捨てはまずいと思ってつい『さん』付けに。
「達弥さんか…。まぁいいよ。
今回は見逃してあげる!」
「あ、どうも…」
「じゃあね、梨空ちゃん。
また明日!」
ヒラヒラと右手を振って、
帰って行った。