Liberty〜天使の微笑み


「そう、でしょうか?」

「間に合えばでいいから、考えておいてくれ。な?」


 ぽんぽんっと肩を叩くと、先生は部屋から出て行った。



 今なら……描けるの、かな。



 大会用を仕上げてから、授業以外で、自分から進んで絵を描くことはしてない。

 パステルだって、もう何ヶ月も手にしてないけど。





「――描いて、みようかなぁ」





 久々に、そんなことを考えた。今までは、こうやって思ってもなんだか面倒に感じてしまうことが多くて。

 家に帰ると、私は手早く家事を済ませ、部屋へこもった。

 引き出しに入れていた画材を引っ張り出し、イーゼルを立て、スケッチブックをそこに立てかける。意外にも、今のところ面倒な気持ちはない。

 まずは……何を描こう。

 久しぶりだし、時間は二日しかないわけだから、そこまで凝った作品にはできない。

 ふつうの白だけでなく、色画用紙も取り出し、何がそこに似合うかをイメージする。


「――――あ、これ」


 画材と共に、しまっていた本に目が留まる。それはパステルの使い方が書かれた本で、捲って見ると、一枚の絵に興味をもった。


「雪柳。――いいかも」


 小さな白い花が、柳のように流れていて。可愛らしいその花を、描いてみようと思った。

 携帯で雪柳の画像を眺め、目に焼き付けていく。
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