愛してるんだよ。
しばらくボーっとしていると女が起きて、手際良く服を着ると



『またね』



と笑って、電話番号を書いた紙を置いて部屋から出て行った。



「またね…だと?くそったれ!!次なんかあるかよ!!クソ!!あぁー!!」



叫んで、女を罵ったって悪いのは俺だ。



“謝らなくちゃ”



俺の頭の中で誰かが言った。



“許して貰わなくちゃ”



とまた囁く。



服を着て、急いで家へ戻った。



もう、時計は2時を回っていて…住宅街には、静寂が立ち込めていた。




それがどうにも怖くて、俺の罪は一生消えない…このまま闇に溶けてしまえと、頭の片隅で、また誰かが言った気がしたが、それを振り払って、走った。



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