野に咲く一輪の花の如く
さっき進が顔を出していた二階の窓から、白髪の70代位の男性がこっちを見ていた。
でも、私と視線が合うと、すぐに視線をそらして窓を閉めた。
進がゆっくりと抱きしめていた腕を緩めた。
そして、私の顔を覗き込む。
「未来。今のは、俺が震災の後、ずっとお世話になっている伊藤さん。とりあえず、中に入って話をしよう」
そう言って、進は私の両肩をグイッと掴んで、私を立たせてくれた。
「さぁ、どうぞ」
進が先に玄関を入って、私を促した。