野に咲く一輪の花の如く
「お邪魔します」
私が恐る恐る中に入ると。
「あんたはやっぱり嘘つきだったな……こんな可愛らしいお嬢さんをいつまでも待たせて、こんな老い先短いじじぃの世話なんぞしおって、この馬鹿者が!」
突然の怒鳴るような荒い口調に、体がビクッと反応した。
「すみません。でも、そうしなかったら、伊藤さん、あのまま飲まず食わずで死のうとしたでしょ?」
えっ?
『死のうとした』?
私は目の前にいる2人を交互に見た。
すると、伊藤さんは無言のまま、2階へ戻って行った。