今度はあなたからプロポーズして









「素敵なお話と食事を
 ありがとうございました…
 とても、楽しかったです!」





駅に着くと、
留美はまた丁寧に御礼を言った。





「気にすることはない…
 誘った…いや、ナンパしたのは
 わしじゃからな」





賢三は自分を指差して笑った。





「まさか…何人にも
 声掛けてはいないですよね?」





と留美が意地悪く訊くと、




「今日が初めてじゃよ」





賢三は途端に真顔になって
断固否定した。





「私が喧嘩してたからですか?」





留美がまた面白半分に訊くと、




賢三は首を横に振って、








「いや、それはじゃな……

 留美さんが
 春江に似とったからじゃよ。」





と照れくさそうに微笑んだ。





そう聞いた嬉しさからか
留美は顔を赤らめると
小さく手を振って
まだ照れている賢三と別れた。







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