ラブ★シックネス
そうだ、アイツもいたんだった。
急にアイツの存在を思い出して、恥ずかしさがこみ上げる胸の奥。
こんな姿をアイツに見られてしまった恥ずかしさが、より一層あたしの心を空騒ぎさせる。
『…っ、ちょ…!』
―…それでも、アイツに握られた手のひらは、あったかくて。
あたしに有無を言わせずに走り出したアイツの背中が、すごく頼もしく見えたんだ。
見えなくなった、先輩の顔。
アイツに連れさらわれたあたしを見て、先輩がどう思ったか知ることはない。