社長の溺愛



――――――――――…

―――…


幸弘、彩加、俺という3人でマンションに入れば終始無言で気まずい雰囲気


エレベーターの中は息苦しくてたまらない


幸弘は彩加がいくとわかったなり、機嫌の悪さを惜しみもなく出してただ漏れパーティーをしてくれている



部屋のある階につき鍵を取り出す


金属の擦れあう独特の音がするとともに、パタパタという可愛いらしい足音が中から聞こえる

つられるようにして俺たちも中に入る


「慎………と矢島さん…」


玄関に出てきた翼はパジャマ姿でカーディガンを羽織っている


「翼ちゃん、りんご買ってきたから食べよう」


「幸弘くん……」



彼女が喉から出す声は小さくて、少し掠れている気がする


それに、久しぶりにちゃんと目にする翼は心なしか痩せたような……



「とりあえず中に入りましょうよ」


そんな考えは彩加の一言によって中断された



< 335 / 413 >

この作品をシェア

pagetop