社長の溺愛
それでも
脳は理解していても胸の中ではモヤモヤと広がるそれ
やっぱり…何があっても俺を頼ってほしかった
我が儘だとわかっていても、そう思わずにはいられない
そんな状態の心に割って入るような声
「慎ー?用が終わったのなら行きましょうよ、あたしが残るから心配しないで」
いつのまにか敬語が抜けている
ちらっと翼を一瞥した彩加はにこりと笑みを浮かべる
彩加が残ってくれるのなら安心かもしれない
こんなに機嫌の悪い?翼を見るのは初めてだから、女性とは話しやすいのかもしれない
と俺なりの解釈を添える
上半身だけを起こした翼は未だに無表情をきめこんでいて、なにを思っているのかうかがえない
「ねぇ、会議があるんだから早く行かないと」
彩加はベッドサイドにいる俺に近づく
「ね?翼ちゃんだって慎を困らせたくないでしょう?」
「……………」
瞳を伏せる彼女は熱のせいでつらいのかもしれない