社長の溺愛



祈るにほかならない


今ここで説教なんかしても意味がないのだから



「横になりな?」


「……………」


無表情で冷たいフローリングを見つめる彼女はもう返事もしない


俺がいない間に南月に不良講座でも習っていたのか……


渾身のギャグを脳裏から引っ張り出したが不発に終わらせる



なんだか無性ににイラついている俺は、彼女の身体を無理矢理倒してベッドの中に押し込む



そして何よりも一番聞きたかったこと


「どうして俺に連絡しないんだ」


怒りを含ませた低い声に多少なりとも瞳を揺らす



「慎は……お仕事で忙しいから……」


小さく小さく、でもはっきりと言葉にした声はやっぱり掠れていて


放っておきすぎた…というか…
構わなすぎた…というか…


17歳の翼の気遣いに甘えている自分が情けなく思えた


悔しい…なんて俺らしくもないことが脳裏をよぎる



< 337 / 413 >

この作品をシェア

pagetop