社長の溺愛
祈るにほかならない
今ここで説教なんかしても意味がないのだから
「横になりな?」
「……………」
無表情で冷たいフローリングを見つめる彼女はもう返事もしない
俺がいない間に南月に不良講座でも習っていたのか……
渾身のギャグを脳裏から引っ張り出したが不発に終わらせる
なんだか無性ににイラついている俺は、彼女の身体を無理矢理倒してベッドの中に押し込む
そして何よりも一番聞きたかったこと
「どうして俺に連絡しないんだ」
怒りを含ませた低い声に多少なりとも瞳を揺らす
「慎は……お仕事で忙しいから……」
小さく小さく、でもはっきりと言葉にした声はやっぱり掠れていて
放っておきすぎた…というか…
構わなすぎた…というか…
17歳の翼の気遣いに甘えている自分が情けなく思えた
悔しい…なんて俺らしくもないことが脳裏をよぎる