部活~ウチらバスケ部~高校編 ファイナル
梨沙のクラス。
梨沙が教室に入ると、男子3人が、
千奈の机を蹴飛ばして、倒していた。
千奈は、悲しそうな顔をして、それを、
黙って見ていた。
あわてて、梨沙が駆け寄り、
「ちょっと、何、してんのよ」
千奈は黙って、机を元に戻した。
「チナが、何したって、言うんだよ」
「おまえ、知らないのか?
こいつの兄貴、
暴行事件を、起こしたんだぜ」
「えっ」
梨沙は一瞬、言葉に詰まった。
千奈は、悲しそうに、下を向いていた。
しかし梨沙は、怯むことなく、
「そんなの、チナに、関係ないじゃん。
あんたがチナに、何かされたわけ?」
「いや……」
梨沙の剣幕に、男子たちは、少したじろいだ
「こんなことするなんて、
あんたら、最低だよ」
「おお、怖っ」
そう言って男子たちは、
向うに、逃げて行ってしまった。
「チナ、大丈夫?」
「うん……、大丈夫」
しかしその声は、小さく、細く、
いつもの元気な千奈は、感じられなかった。
「何かあったら、言ってよ」
「ありがとう」
小さな声で言って、千奈は、席に座った。
そして、そのままずっと、
自分の握った手を見つめて、動かなかった。