部活~ウチらバスケ部~高校編      ファイナル

  「あっ、そうそう」


千奈は、ポケットから、人形を取り出した。


  「これ、お守り。
   一生懸命、作ったんだ」


そう言って、佐紀に、人形を手渡した。

お世辞にも綺麗に出来てるとは言い難いが
千奈が心を込めて作った事は、わかった。


  「ありがとう」


  「千奈、見ててや。
   次も、頑張るから」


  「私も」

  「私も」

  「頑張りますわ」


皆は口々に、頑張りを誓った。


  「うん、上から見てるよ」


千奈は突然、ガッツ・ポーズをした。


  「ヨッシ!」


するとみんなも、


  「ヨッシ!」


  「じゃあ、頑張ってねー」


  「うん、一緒に試合しようね」


  「応援、頼むよー」


  「うん、一杯、応援するよ」


  「千奈も、一緒にプレイするんだよ」


  「うん、ありが……」


言葉の途中で千奈は、みんなに背を向けた

もう千奈は、あふれる涙を、
止めることが出来なかった。

ぐちゃぐちゃの顔を見られたくなくて、
振り返ることも出来なかった。

片手を上げて、振るのが、精一杯だった。

千奈は、前を向いたまま、手を振りながら
角を曲がって行った。


  「よーし、頑張るぞー」


  「おー」


そして友理は、千奈と会ったことで、
コーチと話した嫌な気分は、
完全に、消え去っていた。


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