キミ色
知らない間に寝てしまっていたのか、次に目を開けるともう朝だった。



は…?
朝?




予想外の展開に自分でも上手く状況をつかめない。
寝ぼけているのも追加して、余計に頭がぼーっとする。



俺、寝てたんだ…
やっぱ、疲れてたのかな。



そんなことを考えながら、1階に降りる。
リビングに入ると、パンの香ばしい香りが一気に俺を包んだ。




「あ!櫂くん、おはよう。」



敏感なお母さんがまた俺に声をかけてくれた。



「おはよ…。昨日なんで起こしてくんなかったの?」



「あぁ…、起こした方が良かった?」



そう言われると、そうでもないような気もしてくる…



「パン、すぐ焼くわね。」



慌ただしく動き出したお母さんを見ながら、静かに席に座った。



懐かしいテーブル。
横に花音が座ってた。



絶対にバター派の俺にいっつもマーガリンを塗ろうとする花音が蘇ってくる…。





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