すべては数直線の上に+詩集
俺とアカリはあの時、何とかここまで逃げてくることができた。
逃げてくる途中、アカリは何度も「もうだめ…。」と呟き、その度に俺はアカリを励まし「きっと大丈夫だ。」と声をかけた。

結果的に俺は正しかったんだろうと思う。
今こうして隣にいるアカリの安らかな寝顔を見ていると、俺はもう大丈夫だと伝えたくなる。
だってアカリは「もうだめ…。」なんて呟かなくて済むんだから。

二人でここに逃げ込んだ時にはまだ数日分の食料が俺らにはあった。
俺とアカリは、それを大事に分けあって食べ、何とか生き延びようと誓いあった。
食料が尽きたのは…確か…二週間ほど前だろう。

そしてその一週間後…つまり、今から一週間前にアカリが死んだ。

アカリが死んでから一週間、俺には話し相手がいない。

そして、その一週間前から全く眠れなくなった。

突然人は眠りを必要としなくなるものなのか?
少なくとも、これは良い兆候ではないだろう。

眠れなくなった最初の日、俺は太陽が昇ると同時に地面に線を引いた。
近くにあった木の枝の切れ端を使って地面に一本の線を引いた。

そして次の日、また太陽が昇ったとき、僕はまた同じように地面に線を引いた。
それから俺は地面に引かれた二本の線を眺めた。



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