すべては数直線の上に+詩集
二人は車を降り、頭上に広がる夜空を見上げた。
まだそこには流れ星の姿はなかった。

山頂ということもあり、深夜の外気はやや冷たかったが、決して嫌な冷たさではなく心地よく、爽快なものだった。

そのとき二人の頭上を星が一つ流れていった。

それを合図に幾つもの星が次々に二人の上を走り抜けた。
そんな流れ星を見ていると、サトシはまるで空が堕ちてくるような奇妙な感じがした。
そんな奇妙な感覚に包まれて、サトシは隣にいるユキを見た。
ユキの手を握った。

急に手を握られたユキがふとサトシの方を見たとき、二人の目が合い、互いに見つめあった。

しばらく見つめあった。
その間も流れ星が幾つも二人の頭上を走り抜けてゆく。
どれくらい見つめ合っていたのか覚えていない。
口を開いたのはサトシだ。


「なぁ、結婚しよ。」
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