すべては数直線の上に+詩集
手に棒切れを持った人間が幾つか確認できる。
僕はあれを見たことがあるぞ、昔あれで叩かれそうになったこともあったな。チクショウ。
確か、人間たちが雨の降るときに広げて使う...そう、傘だ。

ということは...これから雨が降るのか?

彼らは箱に映る天気予報ってのをよく見ているのを僕は知っている。
おそらく...これから雨が降るのだ。
空を見上げるとまだ青さは残っているが、確かに黒い苦手な雲がちらほらある。

雨が降るんだ。

それは困った。
僕は濡れるのが嫌いだ。
それまでに安全な場所へ避難しなくては。

僕はより低い位置を飛ぶことにした。
小さな蟻の集団はさっきよりはっきりと見えるようになった。

手に持った本を読みながら歩いている男が、前からやってきたサラリーマンらしき男にぶつかって転んだ。
スーツの男が持っていたブリーフケースが地面に落ち、中身が散乱した。
もう一方の男は持っていた本を落とした。
サラリーマンが散らばった紙を拾い集め、ブリーフケースに戻す。
立ち去ろうとしている本を読みながら歩いていた男に対して、何か怒鳴った。
本を読んでいた男はそれを無視して立ち去っていった。

ちょっと右を見てみた。
警官二人が全力で走っている。
二人の前を一人の男が走っている。

きっと前を走る男が何かやらかしたのだろう。

警官二人が何か怒鳴りながら、男を追いかける。
警官の一人が前を歩いていた白いシャツにインディゴのジーンズをはいた青年にぶつかりそうになり、体勢をくずした。


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