すべては数直線の上に+詩集
若いカップルが手を繋いで、互いに何か話し、わらいながらどこかへ向かっているのも見える。
映画でも観に行くのだろうか?
実に楽しそうな二人だ。

そんな二人のすぐ横を汗だくの男が走り抜ける。

カップルは一瞬、何事かとびっくりして話が止まる。
そのすぐ後に二人の警官がカップルの横を走り抜ける。

しばらく立ち止まったあと、カップルはまた話しながら歩き始めた。
幸せそうなカップルに僕はちょっと嫉妬した。

ランプが青色に変わった。
音楽が流れている。

ランプが青に変わって、それまで立ち止まっていた集団が一斉に歩き出す。
集団は四方からやってきて、中央で一つの大きな塊となり、そしてまた四つに別れてそれぞれの方向へと歩いて行った。

集団から出遅れたやつがいる。
点滅し始めたランプに慌てて、彼が東から西へと走り抜ける。

そんな蟻の大群が道路を渡った後を車が進み始めるが、渋滞しているため思うように進めない。
ドライバーたちの苛立ちが伝わってくる。
あちこちからクラクションが聞こえる。
クラクションの音は、ドライバーの苛立ちそのものだ。

そんなドライバーたちのことなんてお構いなしに、さっきの若いカップルがマクドナルドに入った。
映画前のお食事かな。

さっきサラリーマンにぶつかった男が、そのマクドナルドの前を通りすぎる。
...また本を読みながら歩いている。
懲りないやつだ。
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