すべては数直線の上に+詩集
ここで遊ぶ子供たちは、花がないことを不思議に思うだろうか?

僕は公園に入り、ベンチへと向かう。
入り口にあった立て札と同じで、このベンチも古ぼけている。
白いペンキがあちこちで剥がれていて、ひどく汚く見えた。

僕はそんな、かつて真っ白だったベンチに腰かけた。
ベンチに腰かけた僕のちょうど正面に、例のチューリップを巨大化した滑り台が見える。
その滑り台の右側奥では、四つのブランコが子供たちが来るのを待っている。

左斜め前にはトイレがあるのだが、このトイレだけがあまりにも新しく、違和感を感じてしまう。
きっとトイレだけを改装したのだろう。
なぜトイレだけでなく、遊具も新しくしなかったのだろう...?
立て札を作り替え、ベンチをペンキで真っ白に塗る。
そして、大事なチューリップの花。

僕は両目を閉じ、そんな生まれ変わったこの公園を思い描いた。
素敵な公園だ。
素敵な公園と、笑顔で遊ぶ子供たち。

目を開けた。
現実とは悲しいものだ。


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