すべては数直線の上に+詩集
アルバムをめくると、中から白いレシートが出てきた。印字された文字は薄くなっていて何を買ったものかは判断できなかった。
それでもそのレシートには微かにではあるが、見慣れた店のロゴを見ることができた。

あるコンビニのロゴだ。

だとしたら、買ったものはだいたい予想がつく。
缶コーヒーだろう。いつものやつだ。

そんなことより僕が気になったのは、そのレシートの裏面に殴り書きのように雑に書かれた数字だった。
それは確かに僕の書いた数字だ。
雑に書いても、丁寧に書いても見映えの変わらない哀しき僕の字だ。

書いてある数字が誰かの携帯番号らしいことは11桁の数字を見れば分かるのだが、誰の番号だか思い当たらない。
気になって自分の携帯電話を取り出し、電話帳で確認してみたけど該当する番号はなかった。

さて…誰の番号?
僕は考える。

そもそも卒業アルバムに挟まってたってことは、高校時代の友人の番号だろうか。
なんとなくそんな気はする。

気になる。
結構気になる、非常に気になる。
あー気になってしかたない。

と、その時僕の指はすでに携帯電話のボタンを押していた。
レシートに書かれた数字を目で追いながら。

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