運命に導かれて


ここでの羽衣は身寄りのないごくごく普通の子。



いや、身寄りがないのだから普通には入らないのだろうか。



お互いを想う気持ちに嘘などなくても、ここにずっといてもいいものか……羽衣はそんな不安な気持ちを捨て切れずにいた。




「まだ起きてたのか?」



「っ……。ルカ………。」


いつの間にか帰城したらしいルカは羽衣のすぐ後ろに立っていた。



「ただいま。眠れないのか?」


自分をみてニコリともしない、それどころか今にも泣きそうな表情の羽衣を見逃すはずなどないルカだが



羽衣の身体はいつから窓辺にいたのか冷えきっていたので、ベッドに横たえ頭を撫でた。



「ありがとう。ごめんね。」



「遅くなってごめんな。こんなに冷えて……。今夜はもう遅い。目を閉じて。」



いつものように、ゆっくりゆっくり頭を撫でる手に、安心したように羽衣は意識を手放した。






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