純恋〜スミレ〜【完】
虚しくて、悲しくて、切なくて。
ただ、どうしようもなく心が痛い。
心をズタズタに切り裂かれてしまったみたい。
あたしは二人に気付かれないようにクルりと背中を向けて、勢いよく走り出した。
涙だか雨だか分からないものが顔中を濡らす。
雨が降っていて本当によかった……。
雨が涙を隠してくれる。
あたしの弱さも、ズルさも……
未だに断ちきれない優輝への想いも。
全部、全部、雨で流れてしまえばいいのに。
愛するほどに、切なくて
愛するほどに、苦しい。
そんな感情を、あたしは生まれて初めて知った……――。