純恋〜スミレ〜【完】
季節は冬になった。


一歩外に出ると体中を冷たい北風が包み込む。


暑いのは我慢できるけど、寒いのは無理。


かじかむ手を擦り合わせながら歩くあたしを見て、叶恋がクスッと笑った。


「お姉ちゃんって、昔からホント寒がりだよね~」


「そんなことないし」


「またまた~!強がっちゃって。でも、今年の冬は優輝先輩がいるし寒くないね」


「どういう意味?」


「優輝先輩が暖めてくれるでしょ~?あーー、もう。超羨ましい~!!あたしも優輝先輩みたいな彼氏欲しいなぁ~。お姉ちゃん、優輝先輩に誰か紹介してって頼んでよ」


「優輝に紹介してもらわなくても、アンタなら選び放題でしょ?」


「……うわぁ、お姉ちゃん……それって嫌味?」


叶恋は眉間に皺を寄せて露骨に顔をしかめる。



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