純恋〜スミレ〜【完】

「優輝、大好き……」


あたしは優輝の大きな胸に顔を埋めた。



トクントクンっと一定のリズムで刻む心臓の音。


甘くて柔らかい香水の匂い。


背中に回された力強い腕。


「俺も……純恋が好きだ」


耳元で感じる、低くてかすれた声。


誰よりも、大切で。


誰よりも、愛おしくて。


初めて心の底から愛することのできた人。


初めて心の底から愛してくれた人。


初めて、自分を犠牲にしてでも守りたいと思えた人。



自分ではない誰かの為に何かをしたいと思うこと。


それはとても勇気のいること。


だけど、その勇気は必ず相手に伝わるから。


決して無駄になどならない。

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