ひとりだけ。

+2つの指輪+

『なかなかよかったねー』

由香は氷が溶けて少しぬるくなったメロンソーダを飲み干した。

出入口付近ではバンドのアンケートやCDや写真などの販売が行われている。


そこに集まる色とりどりの服を着た女の子たちを横目に、まわりをキョロキョロみながら落ち着きがないあたしはちょっと挙動不審だったと思う。


『ちょっとは落ち着いたら?』


呆れたように由香に言われてあたしは我に帰った。


ギュッと握り締めた手を緩くしてなんの事?とばかりに由香にしらをきる。


落ち着きを取り戻したあたしは静かに彼が下りてくるのを待った。


そして他のメンバーと共に階段から下りてくるのが見えた。


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