疲れ切った心



「おぉ、珠理。おかえり」


「お父さんの方こそおかえり」


「あぁ。珠理、これを見なさい」



お父さんから渡された白い物を受け取り、中を見る。



「写真・・・・・?」



いかにもお見合い写真みたいな感じに男の人が写っていた。



「この人は・・・・?」


「お父さんの会社の社長の息子さんだ」



へぇ~・・・・。



この人が社長のねぇ~・・・・。



「その人がお前の婚約者だ」



え___



「社長が珠理の事を気に居られてな」



ウソでしょ・・・・・?



この人が婚約者?



写真が手から滑り落ちそうになった。



「流石お父さんの自慢の娘だよ」



残酷だ。



散々私を邪険にしといて都合のいい時だけ“自慢の娘”だと言う。



それなのに私の結婚相手まで勝手に決めるなんて。



普通そこまでする?



私は何処まで人形扱いされるの?



私にだって感情くらいある。



「来月の5日、顔合わせだから忘れるなよ」


「分かった・・・」



きっと私は、一生操り人形なんだ。
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