掲示板のすみっこで



聞こえてきた声に意識を取り戻した


辺りを見回して今の状況を確認。今はコンビニでバイト中、手にしているのはそこそこ売れ筋のいいガムが敷き詰められた箱、格好はしゃがんでいて、目の前はお菓子売り場、つまり補充中


次にさっきの声は…


「おいっ!」

把握するより前に、肩に置かれた手で強引に立ち上がらせられると、さっきまでレジにいたであろうお客様と顔を突き合わせる形になった


その人はパンチパーマにグラサンといういかにもわかりやすいチンピラ風のお客様で、途端に脈拍の動きが早まる




「あの、…な、何か」

「あの何か、じゃねぇよ。こっち来い!」


しゃがんで痺れた足なんて構われずに引っ張られ、引きずり進んだせいで床に置いた他のガムの箱を蹴飛ばしてしまった

しかし、チンピラ風お客様は気にも止めないで迷わずレジに進み、俺をカウンターの中へと押し込まれた

レジ前には、入ってきて間もない新人くんが無愛想に腕を組んで突っ立っている




「ちょっ、橋本くん、腕」


無愛想どころか相手を睨むように見返す彼の腕を下ろさせて右に寄せ、自分がチンピラ風お客様を対応する


心臓の速度がまた一気に増した



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