失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



あの時もこうやって溶けた

出口のない苦痛の中で

お願いだからせめて

気持ち良くしてくださいと願い

それが叶ったとき僕たちは互いに

心を開いていた

理由はわかっていたような

だが何かと問われたら

なぜかはわからなかった

あれは…なんだったんだろう?


「な…なぜ…僕を…?」

僕は彼の圧迫感に喘ぎながら

そのわけを尋ねた

彼は更に深く突き上げた

「くはっ…!」

僕はたまらずのけぞった

「なぜかと私に聞くのか?…打算も

なく…媚びることもなく抵抗もせず

だが諦めもしない…ただ泣きながら

苦しみ加害者の私の行く末すら案じ

た…君は一体何者なんだろうか」

彼は激しく腰を使い僕を責め続けた

「うあ…」

僕はいきそうになり

壁に押し付けられた自分のモノを

パジャマの上から両手で握りしめた

「んっんっんっ…」

口を手のひらで押さえられる

くぐもった声が病室に漏れる

「うっ…!」

鋭いうめき声と共に突然彼はいった

いつもよりとても早く



「…参ったな…ここは行くところじ

ゃないのに…」

彼は肩で息をしながら僕の中で

余韻を味わっているようだった

「君が…エロ過ぎる…なんてキツい

んだ」

彼は僕を再び後ろから抱きしめた

「は…イクっ!」

その瞬間僕が弾けていた





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