失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



「あの…なぜ…ですか?…居場所知

ってるのに…兄から訊けば全部わか

ることじゃないんですか?」



その瞬間…二人は急に黙った

なにか聞いてはいけないこと

のような空気が流れた



「もしかして事情を訊き出せないよ

うな状況なんですか?…まさか…監

禁されてるとか…」



なにか…言ってよ



彼らはお互いを見ていた

無言でやり取りしてるみたいに…

彼は首をかすかに横に振った

それを見た彼の父親が

僕の方をゆっくりと向いた


「わかった…それを話さなければな

らないな…どうか落ち着いて聞いて

欲しい」




それを聞いた途端

全身に鳥肌が立った

ものすごく嫌な予感が走った

パンドラの箱を開けたみたいに





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