失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



そのあと

クスリで狂ったようになった僕を

知らない男が犯していた





僕はあいつに

売られた



拒否したら

逢えない

クスリもくれない



僕はあいつの

持ち物になった

それが《ペット》

でももう逆らえない

恨み言を言って

殴られ

脅された

「どうせ…売ってたんだろ?…そん

な身体のくせに…俺じゃなくても

狂うんじゃねぇかよ…なにがあんた

に抱かれたいだよ!…つべこべ言う

なら…捨てるぞ…わかってんのかよ

なあ?…お前がなんでもするって言

ったんだよなぁ」


捨て…ないで

僕が…間違って…た

捨てないで…

死んじゃう…よ…

「お前には高いクスリを山ほど使っ

てやったんだ…好きだからだよ…今

金がないんだよ…助けてくれよ」

そのあと

人が変わったように

優しく僕を抱く

客と交渉する同じその口で

ごめん…と言う

だから僕はそれを拒めない

泣きながらこの男を

求めてしまう

やめることが出来ない





悪魔に魂を売った罰…だ

そうだよね…

神父さん…

あなたの言う通り





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