ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「出たら怒られんだろ? なんで来ないのかって」


枝豆を口にしながら当然って顔で八木原くんが笑った。


「……嬉しいんじゃないの? 女の子と二人っきりで」


私はなんてことないようにグラスに口をつけながら訊いた。

本当は私は期待していたんだと思う。


水嶋は女の子を誰でも食っちゃうような人じゃないんだってことを。

私とそういう関係があったくせにものすごく矛盾してるけど。


だけど八木原くんの答えは期待していたものとは違った。


「べつに嬉しくないんじゃない? 慣れてるでしょ、あの人はそういうの」

「……慣れてるって」

「逆に会社の女の子なんかウザいんじゃない? 後からいろいろ面倒くさそー」

「……」


それって逆に言えば会社の女の子じゃなきゃ、そういうのが日常的にありえるって言ってるようなもんだよね……。


やっぱり私とのことなんてよくある日常の一部だったんだ。
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