恋するカフ・リンクス




「…もう…いいか」

少しして聞こえた紫竹さんのその声でハッと我に返る。

慌てて彼から離れる。


マズイ。
ホントこれマズイ。

どうしよう。

ハズカシすぎて
顔、あげられない。

「ふたりとももういないから…」

彼は後ろを確かめながら言った。


アタシも少し顔を上げてそっと彼の向こう側を確かめる。

「…みたい…やね」

やっとの思いでそう言葉にするアタシ。

もう、
ホントどうなってんの。

だって考えたら結局キスすらしてないのに。
どうしてこんなに。

いつまでも紅潮する顔と高鳴る鼓動。

< 218 / 293 >

この作品をシェア

pagetop