Platinum Kingdom【完全完結】
今まで何も知らずにのうのうと日々を過ごしきた私。
―――蔭で兄様が、私の為に動いてくれていただなんて。
私の為に、自分を犠牲にしてまで。
「…ありがとう、兄様」
ごめんね、は言わない。
兄様がしてくれたことを、私が謝ってはいけないような気がしたから。
だから、兄様は謝らないで。
私は兄様のその気持ちが嬉しいから。
「…更紗」
「…私、お見合いするよ」
「!?…更紗!?」
「私だけが、こんなに自由に生きていい訳がない」
…自分を楽な方向ばかりに持っていってはだめ。
…お見合いが何よ。
兄様方の苦労などから比べたら軽いものじゃない。
…兄様が一番苦労されているところを私は目の前で見てきたから。
『拓哉、お前は白蕗の跡取りなのだから』
『拓哉くん、君の将来を大いに期待しているよ』
『あれは…白蕗の跡取りじゃない。これはまた優秀そうな子ね』
周りから勝手に期待され、
周りから圧力を掛けられ、
プレッシャーを掛けられて。
そんなのから比べたら、こんなこと全然苦じゃないじゃない。